【継続は良くも悪くも力なり?】不健康な習慣は蓄積するらしい

題名の通りですが、不健康な習慣も積み重ねると、身体に良くないかもという論文がありましたので共有します。(R)

目次

研究の背景と目的

この研究は、喫煙・大量飲酒・運動不足という3つの健康リスク行動が、長期的に心身の健康にどのように影響するかを調べたものとのこと。特に、これまでの研究が20年未満の追跡や中年期以降を対象などと特定の期間で区切ったものが多かった中で、本研究では30年以上にわたり、27歳(若年成人)から61歳(初老期)まで同じ個人を追跡した点が大きな特徴です。

実験概要

対象者とデータ収集

  • 対象者:1959年生まれのフィンランド人(男女計369人)
  • 追跡期間:1986年(27歳)〜2021年(61歳)
  • 測定年齢:27歳、36歳、42歳、50歳、61歳の5回

評価項目

  • リスク行動:喫煙、大量飲酒、身体的不活動
  • 精神的健康:抑うつ症状(General Behaviour Inventory)、心理的ウェルビーイング(Ryff’s scale)
  • 身体的健康:自己評価健康(1〜5点)、代謝リスク:血圧、腹囲、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖(0〜5点で評価)

分析方法

  • 各時点でのリスク行動数(0〜3点)と、全時点を通じた**累積スコア(0〜1の比率)**を算出
  • マルチレベル線形モデルを使用し、年齢・性別・教育水準を調整

判明した明確になった点

現在のリスク行動が多いほど健康状態は悪い

  • 抑うつ症状が増加:行動が1つ増えるごとにスコアが0.10上昇(p=0.032)
  • 心理的ウェルビーイングが低下:スコアが0.10低下(p=0.010)
  • 自己評価健康が悪化:0.45ポイント低下(p<0.001)
  • 代謝リスクが増加:0.53ポイント上昇(p=0.013)

時間的にリスク行動が蓄積されると影響はさらに大きい

  • 抑うつ症状:0.38ポイント増加(p<0.001)
  • 心理的ウェルビーイング:0.15ポイント低下(p=0.046)
  • 自己評価健康:0.82ポイント低下(p<0.001)
  • 代謝リスク:1.49ポイント上昇(p<0.001)

一時的な不健康な行動よりも、それを長期間続けることの方が深刻な影響を与えることが示された

各リスク行動ごとの影響に違いがある

  • 喫煙(累積):抑うつ症状と心理的ウェルビーイングに悪影響
  • 大量飲酒(累積):抑うつ症状の増加、自己評価健康の悪化、代謝リスク増加に関連
  • 身体的不活動(累積):自己評価健康と代謝リスクにのみ影響

    精神的な健康には喫煙と飲酒、身体的健康には飲酒と運動不足が影響するという構図が明らかになった

年齢による影響は限定的

  • 36歳から61歳までで、全体的な関連性の強さは年齢によって大きく変化しなかった。
  • ただし、自己評価健康に関しては若い時期ほどリスク行動との関連が強いという傾向が見られました。

判明しなかったこと・不明確な点

因果関係の証明はできていない

  • この研究は観察研究(観察的縦断研究)であり、因果関係は不明。
    • 例:「喫煙が抑うつを引き起こす」のか「抑うつが喫煙を促す」のかは明確にできていない。

リスク行動の重みづけが一律で粗い

  • 各リスク行動が同じ重みで評価されている(例:週1回未満の運動も、喫煙も同等に1点)
  • 実際には喫煙の方が代謝や精神に及ぼす影響が大きい可能性があるため、この評価方法には限界があるかも。

行動の強度や頻度の詳細が不明

  • 喫煙は「している/していない」で分類されており、「1日何本吸うか」などは考慮されていない。
  • 飲酒も年間摂取量のみで、摂取の頻度や飲酒スタイルは不明。

他の健康行動(睡眠、食事など)は未評価

  • 対象とした健康行動は3つ(喫煙、飲酒、運動)に限られており、食生活や睡眠習慣など他の要因は含まれていません。

自己申告の限界

  • すべての健康行動・抑うつ・ウェルビーイング評価が自己報告式であり、社会的望ましさバイアス(良く見せたい)が混入する可能性があります。

まとめ

この研究は、30年以上にわたり同一個人を追跡し、不健康な生活習慣(喫煙・飲酒・運動不足)が心身の健康に累積的な悪影響を及ぼすことを初めて包括的に証明したものです。特に、若年期からの蓄積が中年期や初老期の健康状態に影響していることが重要な知見です。

以下が個人レベルでも重要なまとめとなります。:

  • 「今の習慣」が将来の健康に直結することを理解する必要がある
  • 若いうちから喫煙・大量飲酒・運動不足といったリスク行動を避けることが、将来の精神・身体の健康を守る鍵
  • 一つ一つの行動が累積する影響の大きさを過小評価しないこと

この研究結果は、健康教育や介入を若年成人の段階から行う意義を強く支持しています。要は若いうちからの習慣の大事さを説いている訳ですね。個人的にも生活習慣を律した生活をこれからも心がけていきたいと思いました。

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