【ゾンビ細胞キラー】フィセチンが老化細胞除去出来るフラボノイドの中で優秀な件

フィセチンは苺などに含まれているフラボノイド(自然由来のポリフェノール) の1つですが、個人的にケルセチンと並ぶほど好きな抗酸化物質です。今回は僕自身がフィセチンを好きになった経緯となった「様々なフラボノイドの中でもフィセチンは老化細胞を除去する度合いが高いよ」という論文を共有します。(R)

目次

老化を遅らせる「フィセチン」って何?

フィセチンは、リンゴやイチゴ、ブドウ、タマネギなどに含まれる「フラボノイド」という天然の成分の一種です。最近の研究で、このフィセチンが 「老化細胞を取り除く力(セノリティック作用)」 を持っていることが分かりました。

老化細胞とは?

私たちの体には、古くなったり、ダメージを受けたりして増殖できなくなった細胞があります。これを 「老化細胞」 といいます。老化細胞は自ら消えることができず、そのまま残り続け、 炎症物質を出し続ける ことで周りの細胞や組織に悪影響を及ぼします。これが 老化や加齢関連疾患(糖尿病、心疾患、骨粗しょう症など)の原因の一つとされています。

研究の目的と背景

細胞老化はDNA損傷やストレスによって細胞が増殖を停止し、炎症性物質を分泌する状態であり、老化や加齢関連疾患(心血管疾患、糖尿病、骨粗しょう症など)の原因となる。近年、老化細胞を選択的に除去する薬剤 「セノリティック」 の研究が進められています。これまで、ダサチニブ+ケルセチン の組み合わせが老化細胞を除去し、健康維持に有効であることが示されましたが、副作用の懸念がありました。

そこで、本研究では、より強力なセノリティック作用を持つフラボノイドを特定することを目的としたとのこと。

研究方法

フラボノイドのスクリーニング

マウスおよびヒトの老化線維芽細胞に対して10種類のフラボノイドを評価し、老化細胞除去能力を測定した。

マウスを用いた実験

  • プロジェロイド(早老症)マウスおよび自然老化したマウスにフィセチンを投与し、老化マーカー(p16Ink4a, p21Cip1)や健康指標(組織病理、炎症、酸化ストレス)を評価。
  • フィセチンの投与方法として 短期間の急性投与(5日間の経口投与)と 長期的な食事補充(500ppmのフィセチンを含む食事を給餌)を比較。

ヒト脂肪組織を用いた実験

外科手術で採取した脂肪組織をフィセチンで処理し、炎症性サイトカイン(IL-6, IL-8, MCP-1)の分泌量を測定。

10種類のフラボノイドは、レスベラトロールフィセチンルテオリンルチンエピガロカテキンガレートEGCG)、クルクミンピルフェニドンミレセチンアピゲニンカテキンケルセチンとのこと。

11種類じゃね?とか思ったんですが、詳しい方教えてください。カテキンとエピガロカテキンガレートを1つとしてカウントしてるとかですかね。

研究の主要な発見

フィセチンは強力なセノリティック作用を示す

  • 10種類のフラボノイドの中で、フィセチンが最も効果的に老化細胞を除去した。
  • ヒトおよびマウスの老化線維芽細胞の数を減少させた。

老化マウスにおいてフィセチンは老化細胞を減少させる

  • フィセチンを プロジェロイドマウス に投与すると、脂肪、肝臓、腎臓、脾臓などの複数の組織で 老化細胞マーカー(p16Ink4a, p21Cip1) が有意に減少
  • 自然老化したマウス(22〜24カ月齢) にフィセチンを短期間投与すると、脂肪組織の老化細胞が大幅に減少

老化細胞が減少することで、組織の健康状態が改善

  • 炎症の抑制: フィセチン投与により IL-6, IL-8, MCP-1 などの炎症性サイトカインの発現が減少
  • 酸化ストレスの軽減: 肝臓の酸化ストレスマーカー(HNEアダクト)が減少し、抗酸化能力(GSH/GSSG比)が向上。
  • 組織病理の改善: 腎臓、肝臓、肺などの加齢関連病変の進行が抑制された。

フィセチンの投与は寿命延長にも寄与

  • 85週齢(約20カ月)のマウス にフィセチンを食事補充すると、中央値および最大寿命が延長 した。
  • 長期的な健康維持 に寄与する可能性が示唆された。

ヒト脂肪組織でもフィセチンは老化細胞を減少させる

  • ヒト脂肪組織をフィセチン処理すると、老化細胞の割合が減少し、炎症性サイトカインの分泌が抑制された。
  • マウス実験と一致する結果であり、臨床応用の可能性が示唆された。

研究で判明しなかったこと(不明確な点)

フィセチンの具体的な作用メカニズム

  • フィセチンがどのように老化細胞を選択的に除去するのか、詳細な分子メカニズムは不明。
  • PI3K/AKT/mTOR経路の阻害や酸化ストレス低減が関与している可能性があるが、さらなる研究が必要。

(要はメトホルミンとかラパマイシンとかのオートファジー関連が関係しているかもという事)

人間における最適な摂取量

  • マウス実験では500ppmの食事補充 や 100mg/kgの短期間投与 で効果があったが、人間にとっての最適量は未確定。
  • 現在の食事では 1日0.4mg程度しか摂取されていないため、サプリメントとしてどの程度摂るべきかの検討が必要。

長期間の安全性

  • フィセチンは 自然由来で副作用が報告されていない が、長期間摂取した場合の影響は不明。
  • 人間での臨床試験 が進行中であり、今後のデータが重要。

(この論文で示唆されていませんが、そこまで心配する事ではないかと)

まとめ

という事で、研究によると、フィセチンは 老化細胞を選択的に除去する ことで、体の健康を維持し、老化に伴う炎症を抑えることができると考えられています。実験では、以下のような効果が見られました。

  • フィセチンは強力なセノリティック作用を持つフラボノイドである
  • 加齢に伴う炎症や酸化ストレスを抑え、組織の健康維持に寄与する
  • 老化細胞の除去により、健康寿命の延長や寿命の延長につながる可能性がある
  • ヒト脂肪組織でも老化細胞の除去効果が確認されており、臨床応用が期待される
  • 副作用が報告されておらず、食事補充やサプリメントとしての応用が可能

あとがき

世間的にはそこまで有名ではないかもしれませんが、ケルセチンなどと同じく有用性のあるフラボノイドだと思います。老化細胞除去出来るものとしては、GLP1阻害薬やメトホルミン、PD-L1阻害薬、ダサチミブ+ケルセチンなどがありますが、現時点で1番試しやすい形で存在するのはフィセチンだけだと思います。

一応、iHerbのフィセチンのサプリメントのリンクだけ置いておきます。可能性に賭けたい派の自分はフィセチンのサプリメントを摂っていますが、具体的な実感は特にないですね。個人的には苺などのフィセチンの多い食べ物を意識して摂るところから始めてはどうでしょうか。

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