【不眠症対策】年を重ねると寝れなくなる問題にメラトニンが有効という話

高齢者の睡眠改善に対するメラトニンの効果を検証した論文が興味深かったので共有します。(R)

高齢者は年齢とともに睡眠の質が低下し、特に途中で目が覚めやすくなることが知られています。しかし、従来の睡眠薬は転倒リスクの増加や認知機能低下と関連しているため、安全な代替策としてメラトニンが使えるか調べてみたとのこと。メラトニンの有用性を確認していきましょう。

目次

メラトニンとは?

メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計を調整し、眠気を促す働きがあります。通常、夜になると分泌量が増え、朝になると減少します。しかし、高齢者ではメラトニンの分泌量が減少することが知られています。

実験の概要

本研究では、55歳以上(平均64.2歳)の健康な高齢者24名を対象に、メラトニンの服用が睡眠に与える影響を検証しました。被験者は以下の3つの条件で比較されました。

  • プラセボ(偽薬)
  • 低用量メラトニン(0.3mg)
  • 高用量メラトニン(5.0mg)

被験者は以下のようなスケジュールで睡眠をとり、その間の睡眠データを詳細に記録しました。

  • 3日間の通常睡眠(ベースライン)
  • 24日間の実験期間(20時間周期の変則的な睡眠スケジュール)
  • 3日間の再適応期間

被験者は「メラトニン(0.3mgまたは5mg)」または「プラセボ(偽薬)」を30分前に服用し、睡眠中の脳波や覚醒時間などを測定しました。

24日間の実験期間(20時間周期の変則的な睡眠スケジュール)の詳細を説明すると、20時間周期のサイクルで、毎日4時間ずつ睡眠時間がずれていくというもので睡眠パターンをズラして、体内時計が認識する「昼」と「夜」の両方で睡眠を測定し、メラトニンが影響を与えるかどうかを評価したんですね。

実験では、睡眠ポリソムノグラフィー(脳波、心拍、呼吸などを測定する方法)を用い、以下の項目を記録したとのこと。

  • 総睡眠時間(TST):実際に眠っていた時間
  • 睡眠効率(SE):ベッドにいた時間のうち、実際に眠っていた割合
  • 各睡眠ステージの時間(浅い眠り、深い眠り、レム睡眠など)
  • 覚醒回数と覚醒時間

先程も述べたように、実験は「生物学的夜(通常の夜の睡眠)」と「生物学的昼(通常は起きている時間に眠る状態)」の両方で行われました。これにより、メラトニンが夜だけでなく、昼間の睡眠にも影響を与えるかどうかを検証したのでメラトニンを快眠目的で使う際に参考になるデータだと思います。

結果の詳細

高用量メラトニン(5mg)は総睡眠時間を延ばし、睡眠の質を向上させる

  • 5mgのメラトニンを服用すると、プラセボと比較して平均25分総睡眠時間が延びた
  • 昼の睡眠では30分以上、夜の睡眠では15分以上の延長が確認された。
  • 特にステージ2(浅いノンレム睡眠)が増加し、途中で目覚める時間が短縮した。
  • 睡眠効率(SE)も向上し、無駄に目覚める時間が減少した。

低用量メラトニン(0.3mg)は限定的な効果しかなかった

  • 低用量メラトニン(0.3mg)では総睡眠時間の増加は統計的に有意ではなかった
  • ステージ2(浅い眠り)の時間はやや増えたが、深い眠り(SWS)やレム睡眠には大きな変化が見られなかった
  • 覚醒回数や覚醒時間も有意な変化がなかった。
  • 昼の睡眠では若干の改善傾向があったが、夜の睡眠では顕著な変化がなかった。

メラトニンは生物学的夜(通常の夜の睡眠)だけでなく、生物学的昼(昼間の睡眠)にも効果がある

  • 高用量メラトニン(5mg)は昼夜を問わず睡眠時間を延ばした
  • これは「メラトニンは夜間にしか効果を発揮しない」という従来の考え方とは異なる結果。
  • ただし、昼間にメラトニンを服用すると覚醒回数が若干増える傾向があった。

高齢者では若年者よりも高用量のメラトニンが必要

  • 以前の研究では、若年者は低用量メラトニン(0.3mgや1mg)でも効果があったが、本研究では高齢者には5mgが必要だった
  • これは加齢に伴いメラトニン受容体の感受性が低下するため、より高用量が必要になる可能性がある。

これまでの研究よりも高用量(5mg)のメラトニンが有効であることを示した

  • 以前の研究では、2mg以下のメラトニンでは効果が見られなかった。
  • 本研究は「高齢者では5mgが適量の可能性がある」ことを示唆。

なぜ5mgが効果的だったのか?

高齢者では、メラトニンを受け取る脳の「メラトニン受容体」が減少し、感受性も低下していることが分かっています。そのため、若年者に比べて高用量のメラトニンが必要と考えられるとのこと。

従来の研究との違い

過去の研究では、メラトニン2mg以下では睡眠時間の延長が認められませんでした。しかし、本研究では5mgという比較的高い用量を使用し、明確な効果が確認されました。

今回の論文のみでは判明しなかったこと(不明確な点)

5mg以上のメラトニンはどうか?

  • 本研究では5mgが最も高い用量だったため、さらに高用量(例えば10mg)がより効果的かどうかは分からない
  • 逆に、高用量すぎると副作用がある可能性もあるため、今後の研究が必要。

長期間の使用での影響は?

  • 本研究は1か月の試験だったため、長期間(半年や1年以上)メラトニンを使用した場合の効果や安全性は不明
  • 慢性的な使用で耐性がつくのか、副作用があるのかは今後の検討課題。

(メラトニンは安全性が高いことが別の論文で示唆されているので過度な心配は不用かと)

まとめ

本研究により、5mgのメラトニンが高齢者の睡眠改善に有効であることが明らかになりました。特に、総睡眠時間の延長、覚醒回数の減少、睡眠効率の向上といった効果が確認されました。

しかし、0.3mgの低用量では明確な効果が得られず、高齢者にはより高い用量が必要である可能性が示されました。また、昼間の睡眠にも一定の効果があることが分かりました。

あとがき

メラトニンについては、「これ以上飲んだらやばい」というラインは定まっていないものの、 一般的には1回で10ミリグラムを 超えないように指導されます。それ以上は過剰摂取になりやすく、副作用のリスクも増えますんで。

ということで、いろいろ書いてきましたが、やはりメラトニンってのは、寝つきや睡眠時間を改善するための有力なサポートツールだと言えます。もちろん、睡眠を改善する魔法の薬ってわけじゃないので、現時点での睡眠導入剤の最適解と考えておけば良いかと。

寝つきが悪い人は通常タイプのメラトニン、途中で起きてしまう人は徐放性タイプから始めてみてはいかがでしょうか。いきなり5mgのメラトニンは高容量だと思うので、とりあえず3mgのメラトニンのリンクをそれぞれ置いておきます。個人的には睡眠サイクルが崩れて直したい時や休日で次の日ゆとりがある日に通常のやつと徐放性のものを3mgずつ取っていますね。あんまりサプリメントで効いた感覚を覚えるものはないのですがメラトニンに関しては効いている感覚があります。具体的には幼稚園あたりの幼少期の睡眠に関して不満のない満足した感覚が目覚めと共にある感じですね。

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